坂口安吾
底本:「坂口安吾全集 05」筑摩書房
1998(平成10)年6月20日初版第1刷発行
底本の親本:「婦人文庫 第二巻第七号」
1947(昭和22)年7月1日発行
初出:「婦人文庫 第二巻第七号」
1947(昭和22)年7月1日発行
入力:tatsuki
校正:oterudon
坂口安吾
才媛といふタイプがある。数学ができるのだか、語学ができるのだか、物理学ができるのだか知らないが、人間性といふものへの省察に就てはゼロなのだ。つまり学問はあるかも知れぬが、知性がゼロだ。人間性の省察こそ、真実の教養のもとであり、この知性をもたぬ才媛は野蛮人、原始人、非文化人と異らぬ。
まことの知性あるものに悪妻はない。そして、知性ある女は、悪妻ではないが、常に亭主を苦しめ悩まし憎ませ、めつたに平安などは与へることがないだらう。
苦しめ、そして、苦しむのだ。それが人間の当然な生活なのだから。然し、流血の惨は、どうかな? 平野君! あゝ、戦争は野蛮だ! 戦争犯罪人を検索しようよ。平野君!